雇用保険(失業給付)の受給要件

雇用保険の被保険者が離職して、次の(1)及び(2)の両方の条件を満たすときは、一般被保険者又は短時間労働被保険者については基本手当が支給されます。

(1) ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあることが第一です。失業手当は再就職を支援するための手当ですので、職に就く意思の無い人、または就けない人には給付されません。

下記の状態にあるときは、すぐに働くことができる状態にないことから失業手当は支給されませんが、状態が回復する等して働ける状態になれば、その旨を申請して失業給付を受けることができるようになります。

・ 病気やけがのため、すぐには就職できないとき
・ 妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
・ 定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
・ 結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき

(2) ・一般被保険者の場合
離職の日以前1年間に、賃金支払の基礎となった日数が14日以上ある月が通算して6ヶ月以上あり、かつ、雇用保険に加入していた期間が満6ヵ月以上あること。
・短時間労働被保険者の場合
離職の日以前1年間に短時間労働被保険者であった期間と1年間を合算した期 間に、賃金支払の基礎となった日数が11日以上ある月が通算して12ヵ月以上あり、かつ、雇用保険に加入していた期間が満12ヵ月以上あること。

離職の日以前に被保険者区分の変更のあった方や被保険者であった期間が1年未満の方は、「被保険者期間」の計算が(1)、(2)と異なる場合があります。

雇用保険(失業給付)受給までの流れ

1.離職票をもらう
離職後、勤務していた会社から「雇用保険被保険者離職票」を受け取ります。いわゆる離職票です。

2.受給資格の決定
住居を管轄するハローワークに行って「求職の申込み」を行った後、「離職票」を提出します。このとき、以下の書類が必要ですので持参しましょう。
・雇用保険被保険者離職票
・雇用保険被保険者証
・住所及び年齢を確認できる官公署発行の書類
(住民票、運転免許証、国民健康保険被保険者証等)
・写真(縦3cm×横2.5cmの正面上半身のもの)2枚
・印鑑(認印で可)
・本人名義の普通預金通帳(郵便局は除く)

ハローワークでは、受給要件を満たしていることを確認した上で、受給資格の決定を行ないます。このときに離職理由についても判定します。(簡単な聞き取りをされます。)

受給資格の決定後、次の受給説明会の日時を確認し、「雇用保険受給資格者のしおり」を受け取ります。


3.雇用保険受給者初回説明会
指定の日時に開催されますので、必ず出席しましょう。「雇用保険受給資格者のしおり」、印鑑、筆記用具等を持参しましょう。

受給説明会では、雇用保険の受給について重要な事項の説明が行われます。ここで「雇用保険受給資格者証」、「失業認定申告書」が渡され、第一回目の「失業認定日」が知らされます。


4.失業の認定
原則として4週間に1度、失業の認定(失業状態にあることの確認)をしてもらうため、指定された日に管轄のハローワークに行き、期間中にどのくらい求職活動をしたか・どれくらい働いたか等を報告します。

失業とは、離職した方が「就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にある」ことを言うため、何もせずにブラブラするだけでは失業とは言えません。職を探しているという実態が求められます。


5.受給
失業の認定を行った日から約1週間程で、指定した金融機関の預金口座に基本手当が振り込まれます。

以後、再就職が決まるまでの間、所定給付日数(基本手当が支給される最高日数)を限度として、「4.失業の認定」、「5.受給」を繰り返しながら仕事を探すことになります。給付日数は、離職理由、離職時の年齢、被保険者であった期間等によって異なります。

基本手当は、離職後初めて安定所に来所して求職の申込みを行い、離職票を提出した日から最初の7日間は支給されません。これを待期期間といいます。

また、次の理由により離職した場合は待期期間の7日間に加えて3ヶ月の給付制限がありますので、7日間+3ヶ月を経過してからが支給対象となります。

1. 正当な理由がなく本人の都合で退職したとき(自己都合)
2. 自分の責任による重大な理由により解雇されたとき(懲戒解雇)

なお、基本手当を受けられる期間は、原則として離職の翌日から1年間です。これを過ぎると、所定給付日数の範囲内であっても基本手当が受けられないので注意が必要です。

雇用保険(失業保険)の給付日数(所定給付日数)

基本手当の給付日数(基本手当の支給を受けることができる日数)は90日から360日で、年齢、雇用保険の被保険者であった期間、離職の理由などにより決定します。

倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なくして離職を余儀なくされた場合は特定受給資格者に該当し、一般の離職者に比べ手厚い給付日数となることがあります。

給付日数一覧表

一般受給資格者 自己都合により離職した方および定年退職者の方
 
被保険者期間
6月以上
1年未満
1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
15歳以上65歳未満
90日
90日
90日
120日
150日


特定受給資格者 会社都合(倒産、人員整理、リストラ)等により離職を余儀なくされた方
 
被保険者期間
6月以上
1年未満
1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満
90日
90日
120日
180日
-
30歳以上35歳未満
90日
90日
180日
210日
240日
35歳以上45歳未満
90日
90日
180日
240日
270日
45歳以上60歳未満
90日
180日
240日
270日
330日
60歳以上65歳未満
90日
150日
180日
210日
240日

(短時間被保険者の場合は被保険者期間が12ヶ月以上必要です)

失業保険が受給できる期間(受給期間)は、原則として「離職した日の翌日から1年間(所定給付日数330日の方は1年と30日、360日の方は1年と60日)」です。離職して離職票を受け取ったら、できるだけ早めに職安に行きましょう。

雇用保険(失業保険)の給付金額(基本手当日額)

雇用保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。

この「基本手当日額」は、原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(残業代含む、賞与は除く)の合計を180で割って算出した金額のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)とされています。また、上限額が定められています。

上限額(平成18年8月1日現在)

30歳未満

6,395円

30歳以上45歳未満

7,100円

45歳以上60歳未満

7,810円

60歳以上65歳未満

6,808円


雇用保険(失業給付)の受給期間延長

基本手当は、受給期間内にしか受け取れません。受給期間を過ぎてしまうと、残りがいくらあっても貰えなくなってしまうのです。「受給期間は基本手当の消費期限」と言うと分かりやすいでしょうか。

雇用保険の受給期間は、原則として、離職した日の翌日から1年間(所定給付日数330日の方は1年と30日、360日の方は1年と60日)です。

受給期間は給付日数よりも長く設定されていますので、離職してすぐに職安に行って手続きを行う分には特に問題にはならないのですが、この受給期間は離職した日から数えるため、離職後すぐに職安に行かず何ヶ月もほったらかしにしていた場合は、受給期間の残りが少なくなっていて給付日数を全部消化できなくなってしまう可能性があります。離職して離職票を受け取ったら、できるだけ早めに職安に行きましょう。

なお、病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由により引き続き30日以上働くことができなくなったときは、その働くことのできなくなった日数だけ、受給期間を延長することができます。

延長できる期間は最長で3年間(所定給付日数330日および360日の方の延長できる期間は、それぞれ最大限3年と30日および3年と60日)となっています。

受給期間の延長が認められる例

・求職者本人の疾病・負傷(労災保険や健康保険から傷病による休業給付(休業補償・傷病手当金)をもらっている場合も含む)…医師の診断書または休業補償・傷病手当の受給者は関係書類を添付
・妊娠・出産・育児(子供が3才になるまで、または保育先が見つかるまで)…母子手帳の写しを添付
・6親等以内の親族・3親等以内の姻族・小学校入学前の子供の看護…医師の診断書または関係書類
・正当かつ公的な理由のある長期海外渡航
1.事業所の命による配偶者の海外勤務に同行…転勤辞令のコピー
2.青年海外協力隊(国際協力機構=JICA)など公的機関が行う海外技術指導ボランティアに参加(派遣前訓練初日より起算)…JICAが発行する証明書を添付

なお、離職時において65歳以上である者については、上記に該当した場合であっても、受給期間の延長は認められません。

雇用保険(失業給付)の給付制限

一身上の都合(自己都合)による離職、「重責解雇」で離職した者については、直ちには給付されず、1ヶ月から3ヶ月の期間をおいた後に給付がなされます。これを「給付制限」といいます。

給付制限が付いた場合、離職してから実際に雇用保険金を受け取れるのは、雇用保険の手続きを行ってから約4ヶ月後となります。

但し、次のような場合は、一身上の都合(自己都合)による離職であっても、「正当な理由のある自己都合退職」とみなされるため、給付制限は課せられません。

・体力の不足・病気・ケガなどの理由で職種の転換を余儀なくされた場合。(例:タクシーの運転手が失明したために退職した場合。)
・妊娠・出産・育児などの理由により、90日以上の受給期間の延長措置を受けた場合
・家庭の事情の急変により離職した場合
・配偶者と同居するために退職し、通勤が困難となった場合。(「通勤が困難」とは、会社までの所要時間が片道2時間以上に至った場合を指す。)
・交通機関の廃止・ダイヤ変更などにより通勤が困難になったとき

これらの事情に該当すると思われる場合については、事情を申述することにより正当な理由の有無についての判定を求めることになります。

なお、正当な理由がなく公共職業安定所が行う職業指導や職業訓練の受講指示を拒んだ場合などについては、雇用保険法32条による「給付制限」が課される場合があります。この場合の給付制限期間は1ヶ月間です。

求職活動の認定要件

業認定がされる要件として、「失業」状態にあるということに加えて、「求職活動」を所定の回数以上行っていることが必要です。

「求職活動」とは、求人に応募した場合(公共職業安定所の紹介によるものであるか否かを問わない)、公共職業安定所もしくは厚生労働大臣の認可を受けた民間職業紹介機関・派遣会社、公的な相談機関が行う職業相談もしくは職業紹介、セミナー受講、新聞社が主催する合同求人面接会に参加することなどを指します。

求人に応募した場合は1回、上記機関での職業相談、セミナー受講については2回、前回認定日から当該認定日前日までの間(4週間)に行っていれば認定となります。

但し、以下の場合は、下記要件を満たせば認定となります。
・給付制限が課せられない場合は、第1回目の認定日においては求職活動を1回行なっていること。(通常は、雇用保険受給説明会に出席すれば認定となります)
・給付制限が課せられているときは、待期期間経過後、給付制限解除直後の失業認定日の前日までに求職活動を3回行なっていること。
・「就職困難者」は、各認定日ごとに求職活動を1回ずつ行っていれば認定されます
・支給を受ける日数が7日未満の場合、待期期間が満了したということのみの認定を受ける場合は、求職活動を行っていなくとも認定されます。
・支給を受ける日数が7日以上14日未満の場合については、求職活動を1回行っていること。

なお、以下の行為は「求職活動」とはなりません。
・公共職業安定所、新聞、雑誌、インターネットでの求人閲覧。
・知人への単なる就職あっせん依頼。
・インターネット等による単なる派遣就業登録など

しかし、実務上は、公共職業安定所での求人閲覧のみをもって認定している場合が多いようです。厚生労働省本省は、「公共職業安定所における求人閲覧は求職活動に該当しない」という解釈基準を示していますが、それほど徹底されていません。

求職活動を行ったことについて、公共職業安定所、職業紹介機関や応募した事業所の証明を提出することは原則として不要です。そのため、求職活動を行っていないという理由で不認定となる者はほとんどいないのが実情です。なお、求職活動を行ったということについて虚偽の申告を行えば不正受給となります。

雇用保険(失業給付)の受給者が死亡した場合

受給者が死亡した場合、前回の認定日から死亡した日の前日までの雇用保険金を遺族が受けることができる場合があります。これを「未支給失業等給付」といいます。この手続きは、受給者が死亡したことを知った日の翌日から1ヶ月以内に公共職業安定所に対して請求することが必要です。

「未支給失業等給付」は、民法ではなく雇用保険法で定められた権利です。雇用保険金の受給権は、受給者本人に一身専属する権利となり、民法上の相続の対象とはなりません。
「遺族」は、受給者と同一生計の者に限ります。「同一生計」とは、受給者の収入により生計を立てていた者をいいます。従って、受給者の配偶者や子であっても、受給者の収入で生計を立てていない者は受給することはできません。一般に、受給者と同居していた場合は同一生計であったとみなされますが、別居していた場合は受給者から生活費の送金を受けていたことを立証する必要があります。
受給することができる者は、順に、死亡者(受給者)の配偶者、子、父母、兄弟となります。先順位者がある場合は後順位者は受給をすることはできません。同一順位者がある場合は、公共職業安定所は同一順位者の内の一人に全額を支給すれば足りるとされています。

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